高齢者を看る看護師の悩みとしてよく挙がってくるのが、認知症の方の対応です。
看護師が医療措置を行おうとしても抵抗されたり、意志疎通がうまくいかなかったりする事が多く、ストレスに感じる方もいるのではないでしょうか。
適切な対応ができなければ患者の回復スピードを妨げる可能性があるばかりか、命に関わる病気の場合は取り返しがつかなくなるケースもあります。また、徘徊などの行動がある場合には他の患者に対するケアも疎かになってしまう可能性があり、業務に支障をきたしかねません。
しかし、だからと言ってとにかく押さえつけたり、投薬に頼る防止策を講じるだけでは根本的な問題を解消することにはならず、倫理上の問題もあります。国は今後も増える認知症患者を想定し、認知症認定看護師の制度を2006年に開始しました。
5年以上の臨床経験のある者でそのうちの3年以上認知症の患者の介護経験がある看護師が受験対象となります。合格すると現場では認知症看護のリーダーとしての役割が与えられ、認知症が悪化しないように配慮したり、事故の防止や治療の方法などを取りまとめ、指示や実行していく立場に立ちます。また、介護で行き詰まった患者の家族の相談に乗り、安心を与えるなどの役割も担います。
その仕事の範囲は広く、やりがいのあるものと言えるでしょう。認知症の人の扱いを知るという意味では、認知症に詳しいベテラン介護士も頼もしい存在ですが、その一方で、認知症認定看護師の場合は合併症などの様々な疾患に対する知識を持ち、適切な処置ができる存在として期待されています。
高齢化社会が進む中で、認知症認定看護師は医療現場はもちろん介護の現場でもニーズが高まっていくことが予想されます。
高齢者に寄り添う看護ケアに興味がある方は、認知症看護に関する情報をしっかり調べておくといいでしょう。